静謐の聖語板に見出してきたこと
有明キャンパス正門、武蔵野キャンパス正門・北門に設置されている「聖語板」を覚えていますか?
先人のことばを月替わりに掲示しています。
在学時、何気なく見過ごした言葉、瞬時に腑に落ちた言葉、場面を具体的にイメージできる一文、また、思わずその意味を自身に問い掛けた経験はありませんか。
そして、1カ月間、朝に夕に目にすることで、じっくりと心に沁みこんでくる言葉がありませんでしたか?
今も変わらず、「聖語板」は学生に、教職員に、大学を訪れる人に静かに語りかけています。
6月の聖語
「得意のときに澹(淡)然 失意のときに泰然」六然訓より
6月に入って曇りや雨の日が続くようになりました。大きな木々に囲まれた武蔵野キャンパスは雨宿りには事欠きませんが、聖語板のガラスに雨のしずくが残るほどの雨の日もあります。
さて、今回の聖語は中国・明代の朱子学者で、
人の上に立つ人にはより心に響いてくる言葉だと思います。実際、幕末・明治時代に活躍した勝海舟や、多くの財界人に師と仰がれた陽明学者の安岡正篤氏が、六然を座右の銘としたと言われています。彼らを惹きつけた6つの教えとは、一体どんなものなのでしょうか。
自處超然(じしょちょうぜん)
處人藹然(しょじんあいぜん)
有事斬然(ゆうじざんぜん)
無事澄然(ぶじちょうぜん)
得意澹然(とくいたんぜん)
失意泰然(しついたいぜん)
『新版「四字熟語」の辞典』の「失意泰然」のページには、六然の意味が次のように記されています。
「世俗の物事に拘泥せず、人には和やかに応対し、事あれば心新たに対処、無事ならば明鏡止水の心で、得意なら心を静め、失意凋落に際しては泰然自若にという意味
」
どれも人格者を表した言葉です。6つ揃えば言うことなしですが、一朝一夕で身につくものではありません。まずは「得意憺然」と「失意泰然」を心がけてみてはいかがでしょうか。いつの間にか周りの見る目が変わるかもしれません。
<参考文献>
真藤 建志郎(1993年)『新版「四字熟語」の辞典』、日本実業出版社、P80
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