静謐の聖語板に見出してきたこと
有明キャンパス正門、武蔵野キャンパス正門・北門に設置されている「聖語板」を覚えていますか?
先人のことばを月替わりに掲示しています。
在学時、何気なく見過ごした言葉、瞬時に腑に落ちた言葉、場面を具体的にイメージできる一文、また、思わずその意味を自身に問い掛けた経験はありませんか。
そして、1カ月間、朝に夕に目にすることで、じっくりと心に沁みこんでくる言葉がありませんでしたか?
今も変わらず、「聖語板」は学生に、教職員に、大学を訪れる人に静かに語りかけています。
1月の聖語
「物は分けるほどに小さくなるが 喜びは分けるほどに大きくなる」聖語というと、偉人や賢人の言葉と思っていませんか? お寺の掲示板や法話で見聞きする、誰が言ったのかわからないけれど心に残る言葉もたくさんあります。今回の聖語もそのひとつ。シンプルだけど奥の深い言葉です。
さて、分けるほどに大きくなる「喜び」にはどんなものがあるでしょう。たとえばスポーツ、2023WBCや東京2020を思い出してください。大舞台で選手たちが躍動し、メダルを手にして喜びを爆発させる姿は、見ているこちらにもその喜びが伝わってきました。
とりわけチームや選手を長年応援してきた人たちは、厳しい練習を積み重ねてきた姿を知っているだけに喜びが大きいかもしれません。普段スポーツを見ない人も例外ではないと思います。2024年もパリ2024をはじめとするさまざまな大会で、世界中の人々を歓喜の渦に巻き込むことでしょう。
勝者がいれば敗者もいます。「グッドルーザー(良き敗者)」として思い浮かぶのが、2023年の夏の甲子園決勝で夏連覇まであと一歩及ばず涙をのんだ仙台育英学園高等学校です。須江監督の言葉や優勝校に拍手を送る選手たちの姿に感動した人は大勢いたと思います。
また、第102回全国高校サッカー選手権大会3回戦、石川県代表・星稜と千葉県代表・市立船橋の試合では、能登半島地震により来場できなかった地元応援団に代わり、2回戦で敗退した神奈川県代表の日大藤沢の部員らが星稜の応援スタンドに駆けつけ声援を送りました。対戦相手の市立船橋も試合前にエールを送るなど、励ましの輪が広がりました。
このように「感動」や「励まし」も、分けるほどに大きくなり人の心を豊かにします。年明けは災禍が相次ぎ、不安を感じた人も少なくないかもしれませんが、分けるほどに大きくなるもので、多くの人々の心が豊かになればと思います。
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