静謐の聖語板に見出してきたこと
有明キャンパス正門、武蔵野キャンパス正門・北門に設置されている「聖語板」を覚えていますか?
先人のことばを月替わりに掲示しています。
在学時、何気なく見過ごした言葉、瞬時に腑に落ちた言葉、場面を具体的にイメージできる一文、また、思わずその意味を自身に問い掛けた経験はありませんか。
そして、1カ月間、朝に夕に目にすることで、じっくりと心に沁みこんでくる言葉がありませんでしたか?
今も変わらず、「聖語板」は学生に、教職員に、大学を訪れる人に静かに語りかけています。
12月の聖語
理想をもたない人間は堕落する 我々の理想が人格を形造り 人格が理想を現すのである
高楠順次郎
12月の聖語は、本学の創設者である学祖高楠順次郎博士の言葉です。
「理想をもたない人間は堕落する」とはなんとも耳の痛い言葉ですね。忙しさに追い立てられる日々の中で、思わずはっとさせられました。
高楠先生は「仏教の開祖である釈尊(しゃくそん)を理想の人格として仰ぎ、私たちもその理想に向かって、人格向上の歩みを進めることこそ人生の意義である」と説いていらっしゃいます。
「釈尊を理想の人格として…」と聞くと、とてつもなくハードルが高いことのように感じてしまいますが、今月の聖語の「理想」という部分、より身近なものに置き換えることもできそうです。
「笑顔で挨拶」や「メモをとる」など簡単なことでよいと思います。小さな理想を日々こなしていくうちに、「きちんと挨拶できて気持ちのよい人だな」「頼んだことは忘れずにやってくれる。信用に足る人だ」など、周りからのあなたの評価がいつの間にか変わっていることに気が付くのでは?この積み重ねがすなわち高楠先生のおっしゃる「理想が人格を形造り 人格が理想を現す」ということなのかもしれません。
今年も残すところあとわずか。新年は理想や目標を掲げるには絶好のタイミングです。日々は慌ただしく過ぎていきますが、2025年は掲げた理想と共に堕落することのないよう過ごしていきましょう!
高楠 順次郎(たかくす じゅんじろう)
1866年~1945年(慶応2年~昭和20年)。広島県御調郡八幡村字篝(現・三原市)生まれ。
国際的仏教学者。仏教精神を根幹とした人格育成を理想に掲げ、武蔵野大学の母体である武蔵野女子学院を設立。女子教育の必要性と女性の社会進出を肯定的に考えた先覚者でもある。1944年文化勲章受章。
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