2024年12月4日、武蔵野キャンパス雪頂講堂にて第32回武蔵野文学賞「在学・卒業生部門」の授賞式が開催されました。
武蔵野大学文学部では、文芸創作の魅力を発信し高めてゆく場として、1993年から「武蔵野文学賞」を開催しています。「在学中、応募しました!」という卒業生の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今年度、創作部門で大賞を受賞した作品の一つが卒業生のものだという一報を受け、「これはお話しを伺わねば!」ということで、授賞式にお邪魔することに。
「文学賞受賞式」と聞くと、気もそぞろに受賞の入電を待つ作家と編集者…厳粛な雰囲気の中執り行われる授賞式…という絵が浮かびませんか?今回の授賞式もきっとそうに違いない、と緊張しつつ雪頂講堂に赴きました。
6号館を出ると、あきらかに受賞者であろう女性の姿が。お声がけしてみると、なんとその人が創作部門で大賞を受賞した卒業生の相澤花香さんでした!相澤さんには後ほどゆっくりとお話しを聞かせて頂くとしましょう。
会場内に入ると、受賞者と記念撮影される楊昆鵬先生、渋茶色の着物に身を包んだ町田康先生が土屋忍先生と談笑する様子が目に飛び込んできました。受賞者の皆さんも審査員を務めた先生方も随分とリラックスしており、緊張からは程遠い雰囲気です。「なんだか想像と違うな…」と戸惑っていると、授賞式が始まりました。
第32回武蔵野文学賞 大賞を受賞されたのは次の作品です。
【創作部門】
- 小説『相愛の記憶』相澤花香さん(2020年度日文卒)
- 俳句『また旅へ』向井大成さん(日文3年)
【書道部門】
- 近松ゆずさん(教育学科3年) 漢仮交『武蔵野』(国木田独歩)
「今年度創作部門では卒業生を含む27名から合計31作品(小説12・詩3・短歌7・俳句9)、書道部門では約100点もの応募がありました。昨年度と比較して2倍近くの応募があり、必然的に賞のレベルもあがりました」
とお話しされるのは武蔵野文学賞ご担当の日本文学文化学科 堀切克洋先生。今年は激戦だったのですね~。受賞された皆さん、おめでとうございます!
審査員を務めた先生方による激アツ講評
表彰状授与後は、審査員を務めた先生方による講評です。
大学の先生方というのはその分野を極めたアカデミックなオタクだと常々思っているのですが、今回の講評の激アツ文学オタクぶり、正直驚きました!
身振り手振りを交えながら、「うまいこと書くなぁと(関西のイントネーションで)」「風景の切り取り方。これがすばらしかった!」など、喜々と語るその姿は完全に審査員の域を超えております。
しかしこれは受賞者の皆さんにとって、とてつもなく嬉しいことなのではないでしょうか?その道の先達に、自分の作品をこんなにもアツく語ってもらえるなんて…。もしかしたら「受賞」という事実よりも嬉しいことかもしれません。受賞者の皆さんが瞬きもせず講評に聞き入っている姿が印象的でした。
授賞式最後は全員で記念撮影。高揚した様子で何枚も何枚も写真を撮ります。皆さんの充実した笑顔が今回の武蔵野文学賞の成功を物語っておりました。
創作部門大賞受賞、相澤花香さんインタビュー
授賞式後、小説『相愛の記憶』で大賞を受賞した相澤花香さん(2020年度日文卒)にあらためてお話しを伺いました!
『相愛の記憶』には、自分の反芻した会話や大学時代の思い出がかなり詰め込まれてます。
インタビューの最後に堀切先生はこのようにコメントしています。
日本文学文化学科
堀切克洋先生
卒業しても書き続けようってことは学生にも言ってるんですけど、卒業後のことは我々わからないんですよね。なのでこうやって卒業生の相澤さんが書き続けてくださってることがすごく嬉しくて。卒業生が大賞を受賞したことは、今の在学生にもいい影響あるな、と
卒業後も大学との繋がりが途切れることなく続いていき、在校生と卒業生が互いに共鳴し響き合う。武蔵野文学賞はそんな場でもあるようです。
文学部では摩耶祭2日目に同窓会を行う見込みになったとのことで、今年は三田誠広先生、川村裕子先生、寺島恒世先生など、文学部のレジェンド先生によるミニレクチャーも行われたそう。中にはお子さんを連れた卒業生の姿も。共鳴の場はここにも用意されているのですね。
相澤さんのように卒業後も書き続けている人、今は忙しくて文字が織りなす世界から離れてしまっている人、卒業後の人生はそれぞれではありますが、武蔵野大学文学部はいつでも卒業生の皆さんをお待ちしています!
※第32回武蔵野文学賞 在学・卒業生部門の受賞作品は、2025年3月刊行予定の『武蔵野日本文学』第34号誌上にて掲載予定です。ぜひお手にとってご覧ください
※第33回武蔵野文学賞の募集要項は、2025年6月下旬に公表予定です。皆さんからのご応募、お待ちしております!
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