静謐の聖語板に見出してきたこと
有明キャンパス正門、武蔵野キャンパス正門・北門に設置されている「聖語板」を覚えていますか?
先人のことばを月替わりに掲示しています。
在学時、何気なく見過ごした言葉、瞬時に腑に落ちた言葉、場面を具体的にイメージできる一文、また、思わずその意味を自身に問い掛けた経験はありませんか。
そして、1カ月間、朝に夕に目にすることで、じっくりと心に沁みこんでくる言葉がありませんでしたか?
今も変わらず、「聖語板」は学生に、教職員に、大学を訪れる人に静かに語りかけています。
1月の聖語
「世界がぜんたい 幸福にならないうちは 個人の幸福は あり得ない
」
宮沢賢治(『農民芸術概論綱要』より)
宮沢賢治は明治29年(1896)、岩手県花巻の富商の長男として生れ、盛岡高等農林学校を卒業後、大正10年(1921)から5年間、花巻農学校で教鞭をとりました。
教え子との交流を通じ岩手県農民の現実を知り、羅須地人協会を設立し、農業技術指導、レコードコンサートの開催など、農民の生活向上をめざし活動を続けましたが、過労がたたり、肺結核を患います。晩年の5年間は病床で作品の創作や改稿を行っていましたが昭和8年(1933)37歳の若さで永眠しました。
生前刊行されたのは、詩集『春と修羅』童話集『注文の多い料理店』(1924)のみで、私たちは没後に多くの作品を知ることとなりました。
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