名残の紅葉を探して
季節ごとにさまざまな植物に彩られる武蔵野キャンパス。イチョウが黄金色のじゅうたんを敷き詰めたようになる頃、紅葉は見頃を迎えます。イロハカエデが深い紅色に染まり、ドウダンツツジが黄色から朱色、そして紅色と移り変わる色合いを見せてくれます。冬の澄んだ空気と光の中で、ひときわ鮮やかな色彩を放ちます。
イロハカエデの学内紅葉スポットはいくつかありますが、北門の聖語板はす向かいと正門の親鸞聖人旅立像の脇がおすすめです。特に北門界隈は何本ものイロハカエデがあります。木によって色づきが異なり、この時期は日々自然が織り成すグラデーションを楽しめます。ドウダンツツジはキャンパスに点在しています。
一方、有明キャンパスは武蔵野キャンパスに比べると緑が少ないものの、国際展示場駅方面から正門へと続く遊歩道の街路樹が季節の移り変わりを感じさせてくれます。
モミジバフウは樹形が美しいことから、公園や街路脇に数多く植栽されています。落ち着いた色合いの紅葉もさることながら、その実はクリスマスのオーナメントになりそうなユニークな形状をしていて、見る者を楽しませてくれます。また、周囲の樹木が青々としている中で色づき始めるハナミズキは、今ではすっかり葉が落ちていますが、つややかな赤い実が冬の寒空に彩りを添えています。
さて、文学部日本文学科(現・日本文学文化学科)の初代主任教授、土岐善磨先生の歌集『むさし野十方抄』に、武蔵野キャンパスの紅葉を詠んだ短歌があるのをご存じでしょうか。
「ふりかえり かるく礼して別れゆく 紅葉あかるき校門の前
」
今も武蔵野中高の生徒が校門で立ち止まり、キャンパスに向かってお辞儀をしている姿を見かけます。紅葉も毎年鮮やかに色づきます。時が流れても昔と変わらぬ光景、学院に息づく伝統がそこにあります。
<参考文献>
土岐 善麿(1977)『むさし野十方抄』、蝸牛社、p11。
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