校友トピックス

冬のキャンパスの愉しみ|武蔵野・有明キャンパス歳時記

早春の花と常緑樹と

2月も半ばを過ぎて、全国各地で梅の開花の便りが聞かれるようになりました。ここ武蔵野キャンパスでもテニスコートの脇にある、薬学部附属の第2薬草園の梅が開花しています。このあたりでも2月は雪が降りましたが、木によっては満開に近いものもあります。また、2号館前の芝生の端には、早咲きの日本水仙が清楚な花を咲かせています。梅の花も水仙も甘い香りがして、目だけでなく香りでも一足早い春の訪れを感じさせてくれます。

関連リンク:附属薬用植物園 | 武蔵野大学[MUSASHINO UNIVERSITY]

さて、花や緑が少ないこの季節は、他の季節には見過ごしがちな常緑樹に目を向けてみてはいかがでしょう。武蔵野キャンパスでは冬でもつややかな長楕円形の葉っぱがしげる泰山木、北門からの通路沿いや雪頂講堂の前などにそびえるヒマラヤ杉など、堂々とした木々が点在しています。

そして何と言っても注目なのが、正門から続く車道沿いの黒松の大木です。以前にもご紹介した2代学院長・鷹谷俊之先生の回想録『学院と樹木の思い出』で、その由来をたどることができます。

本学院の黒松の歴史は古く、1926(大正15)年の春、教職員や生徒が総出で築地の校舎から武蔵野へ遠足をした際、苗圃を作り2,500本もの黒松の苗木を植え付けられました。それらは1928(昭和3)年の新校舎建築時に多くを土手へ、残りは1930(昭和5)年に校地のそこかしこに移植したと記されています。時は流れて1941(昭和16)年3月、がっしりと育った黒松のうちの30本は、皇紀2600年記念宮城外苑整備事業で宮城外苑(現・皇居外苑)に移植されるために奉納されました。

十六年の三月廿六日には去る大正十四年の春、此処に栽培した黒松目出度くも三十本宮城外苑へ輿入をすることになった。 (中略) この日は学祖高楠博士も宮城外苑に赴かれ全校を挙げてこの松の献木式を終えたあと、東京都市長(代理)や整備作業の係員も加って記念の撮影をした。私にして見れば永年手がけた娘が外苑の浄域に縁付いたことであるから大いに喜ぶべきであるのに何故かその当分は淋しい思いがした

皇居外苑に植わっている黒松の中には、本学院育ちの木々があると思うと感慨深いものがあります。武蔵野キャンパスを訪れる際には、冬場でも青々とした黒松の風格ある姿に注目してください。

<参考文献>
武蔵野女子学院(1974)『武蔵野女子学院五十年史』、武蔵野女子学院、p592、p613。

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