よりよい未来社会の創出ために
2022年7月15日(金)、東京都小金井市に所在する国立研究開発法人情報通信研究機構(以下「NICT」)と本学の交流会が本学有明キャンパスにて開催されました。NICTからは徳田英幸理事長をはじめ、イノベーション推進部門、電波研究所などのメンバー13名、本学からは清木データサイエンス学部長、中西データサイエンス学科長、データサイエンス学部教員、アジアAI研究所関係者ら16名(オンライン参加を含む)が出席。開催前に徳田理事長、清木学部長、落合大学経営担当理事、西本照真学長とで懇談しました。
NICTは、情報通信分野を専門とする日本で唯一の公的研究機関です。日本の標準時を決定・維持していることでも知られています。電波時計が受信している時刻は、NICTの原子時計のデータをもとにして決められた日本標準時です。
国内外の研究機関などと連携・開発を行い、その成果を社会に還元してイノベーションの創出を目指しているNICT。研究分野は電磁波先進技術、革新的ネットワーク、サイバーセキュリティ、ユニバーサルコミュニケーション、フロンティアサイエンス等、どれをとっても社会に欠くことのできないものばかりです。
一方、データサイエンス学部の教員が研究員として名を連ねる武蔵野大学アジアAI研究所の設置目的のひとつは「産官学および国内外のあらゆる関連活動との双方向の協調関係を育みながら、先端的研究を行い、社会の発展に寄与すること」で、両者には共通した目的があります。
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今回の交流会は、志を同じくする組織および研究者の交流の第一歩です。本学はデータサイエンス学部の石橋直樹教授の進行で、
「Cyber-Physical System in Art Museums」(石橋直樹教授)
「Ai City Architecture in Thailand」(ウィラット ソンラートラムワニッチ教授)
「Cross-Cultural & Semantic Computing」(清木康学部長)
の研究が紹介されました。
清木学部長の研究にある「セマンティックコンピューティング」とは、自然環境、社会環境において発生する現象・事象をマルチメディアデータ(画像、映像、音楽、音声、時空間情報)によって表現し、それらの現象・事象の意味解釈機能を有する新たな人工知能を形成する方法論です。本学大学院のデータサイエンス専攻博士後期課程には、清木学部長をリーダーとする「セマンティックコンピューティング・AI応用」という研究プロジェクトがあります。
NICTは石井守電磁波研究所電磁波伝搬研究センター長の進行で、
「合成開口レーダを用いた地表面精細観測データ処理」(上本純平主任研究員)
「降水レーダを用いたゲリラ豪雨のAI解析」(Phillipe Baron研究員)
「太陽フレアのAIによる予測」(西塚直人主任研究員)
「GAIAモデル・データ同化」(陳英克主任研究員)
の研究が紹介されました。
研究発表というと難しく考えがちですが、私たちの生活の中で身近なものは多く存在します。たとえば、「太陽フレア」に関しては2022年6月に総務省の検討会が大規模な通信障害など被害想定をまとめ、すでに航空機が航路選択に活用するなどされている宇宙天気予報の重要性が高まっています。
また、天気予報でしばしば耳にする「ゲリラ豪雨」他、予測が難しい自然現象に対してAIでより正確な予測ができるようになれば、被害を最小限に抑え迅速な復旧につなげられるかもしれません。宇宙天気の社会的影響は、NICTの宇宙環境研究室のページでわかりやすく図解しているのでぜひご覧ください。
全体討論後、NICTの徳田理事長による講演が行われました。テーマは「ICTの進化と未来社会のかたち」。ICTとは「Information and Communication Technology」の略称で、「情報通信技術」を意味します。この講演は会場とオンラインで多くの学生が参加しました。ICT分野の最前線に立つ人物の講演を聞き、刺激を受けた学生は少なくないと思います。
NICTと本学の研究交流はまだ始まったばかりです。この先、両者が未来社会にどのようなイノベーションをもたらすのか、ご期待ください。
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