校友トピックス

令和4年8月の聖語

静謐の聖語板に見出してきたこと

有明キャンパス正門、武蔵野キャンパス正門・北門に設置されている「聖語板」を覚えていますか?
先人のことばを月替わりに掲示しています。
在学時、何気なく見過ごした言葉、瞬時に腑に落ちた言葉、場面を具体的にイメージできる一文、また、思わずその意味を自身に問い掛けた経験はありませんか。
そして、1カ月間、朝に夕に目にすることで、じっくりと心に沁みこんでくる言葉がありませんでしたか?
今も変わらず、「聖語板」は学生に、教職員に、大学を訪れる人に静かに語りかけています。

8月の聖語

「すべての者は暴力をおそれ 死をおそれる わが身にひきくらべて 殺してはならぬ 殺させてはならぬ」

ダンマパダ 第一二九偈

今回の言葉は、ブッダ(釈迦)の教えの中でも最古の経典と言われる『ダンマパダ』(「真理のことば」の意)の詩句の一編です。第一〇章「暴力」の冒頭に登場します。

このように非暴力・不殺生は遥か昔、ブッダの生きた時代から説かれています。それにもかかわらず、21世紀の今もウクライナをはじめ、世界各地で紛争が相次ぎ、多くの人々の生命や生活が脅かされています。こうした人々は、紛争前は私たちと同じように平穏な日常生活を送っていたことでしょう。

紛争地の状況は遠い世界の出来事ではありません。暴力や死の脅威にさらされる側に身を置いて、その苦しみを理解し、行動することが大切になってきます。

また、この言葉には対となる言葉があります。中村元先生の訳書『ブッダの真理のことば 感興のことば』よりご紹介します。

すべての者は暴力におびえる。すべての(生きもの)にとって生命はいとしい。おのが身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ」 ダンマパダ 第一三〇偈

現在、1年間で4万種、毎日100種類以上の生物が絶滅していると言われています。乱獲や商業開発、地球環境の変化、外来種による影響など、原因の多くは人間の行いです。だからこそ、すべての生きものにとって生命が大切であるという立場に身を置いて、今自分ができることを考えてみる必要があると思います。

「己が身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ」という一節は、ロシアによるウクライナ侵攻について西本学長が発表したメッセージでも紹介されているのでぜひご覧ください。ブッダが重ねて説いたこれらの言葉が、今を生きる人々に届くことを願ってやみません。

関連リンク

ロシアによるウクライナ侵攻について 西本学長メッセージ | 武蔵野大学[MUSASHINO UNIVERSITY]

<参考文献>
中村 元 訳(1978)『ブッダの真理のことば 感興のことば』、岩波書店、pp28-29。

コメントをもっと見る

コメントを残す

※この表示はプレビューです。いただいたコメントは承認後サイトに反映されます。また承認には数日かかる場合があります。

コメントを残す
コメント、名前(ニックネーム可)は公開されます。
いただいたコメントは承認後サイトに反映されます。また承認には数日かかる場合があります。
個人情報や知られてはいけない内容、差別的な内容や誹謗中傷は入力しないよう、お気をつけください。

コメント

名前

メールアドレス※メールアドレスが公開されることはありません。