校友トピックス

令和5年9月の聖語

静謐の聖語板に見出してきたこと

有明キャンパス正門、武蔵野キャンパス正門・北門に設置されている「聖語板」を覚えていますか?
先人のことばを月替わりに掲示しています。
在学時、何気なく見過ごした言葉、瞬時に腑に落ちた言葉、場面を具体的にイメージできる一文、また、思わずその意味を自身に問い掛けた経験はありませんか。
そして、1カ月間、朝に夕に目にすることで、じっくりと心に沁みこんでくる言葉がありませんでしたか?
今も変わらず、「聖語板」は学生に、教職員に、大学を訪れる人に静かに語りかけています。

9月の聖語

「褒められたい 認められたい
 そう思い始めたら 仕事がどこか嘘になります」

永 六輔『職人』より

思わずハッとさせられる言葉だと思いませんか? 承認欲求が強い人でなくても、思い当たる節があるのではないでしょうか。

周囲から「褒められたい」「認められたい」という気持ちは、誰もが持っている感情です。そうした感情を完全に失くすことは正直難しいと思います。それならいっそ、自分で自分を褒めてみてはどうでしょう。自己肯定感が高まり、自然と他人の評価が気にならなくなるかもしれません。

さて、今回の聖語は放送作家、タレント、ラジオパーソナリティなど幅広い分野で活躍し、マルチタレントの先駆者として知られる永 六輔氏の著書『職人』に収録されています。威勢のいい笑えるもの、哲学者のようなもの、職人ならではの言葉をいくつかご紹介しましょう。

「職業に貴賤はないと思うけど、
生き方には貴賤がありますねェ」

「人間、<出世したか><しないか>ではありません。
<いやしいか><いやしくないか>ですね」

「いいかい、
仕事は金脈じゃない、人脈だぞ。
人脈の中から金脈を探せよ。
金脈の中から人脈を探すなよ」

「もらった金と稼いだ金は、はっきりと分けとかないといけないよ。
何だかわからない金は、もらっちゃいけねェんだ」

書店や図書館で見かけたらぜひ手に取って、職人の言葉の奥深さや人生訓をたっぷりと味わってください。

<参考文献>
永 六輔(1996年)『職人』、岩波書店、pp8-9

永 六輔(えい ろくすけ)
1933~2016年。放送作家、タレント、ラジオパーソナリティ、作詞家、作家。
東京都台東区浅草生まれ。学生時代、ラジオ番組に投稿したコントが採用されたのを機に放送作家へ。作詞家としては早稲田大学の先輩で作曲家・中村八大との“六八コンビ”で、「上を向いて歩こう」をはじめとするヒット曲を次々と生み出す。さらに、テレビ番組の企画・演出やタレント活動を行う傍ら、ベストセラー『大往生』を執筆するなどマルチな才能を発揮。さまざまな分野で多くのファンを持つ。

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